聖書の中の”Call & Response”

 音楽の世界には、色々なジャンルがあります。クラシック、ジャズ、ロック、ゴスペル、R&B(リズム&ブルース)等。その中でもアフリカ系の黒人音楽と呼ばれるゴスペルやジャズの中には、“Call and Response”(コールアンドレスポンス)と言って声楽や器楽の奏者が、聴衆に向けて掛け声をかけて招き(コールして)、それに聴衆が拍手や歌声で応答する(レスポンスする)掛け合いがあります。音楽には、一方的に楽器の演奏者や声楽者が、聴衆に向けてメッセージを発信し、聴衆はただ受身でその音楽を受け止めるという味わい方もあります。けれども、“Call & Response”と言う掛け合いの技法を通して、演奏者の語りかけに聴衆が応えることにより、その演奏と対話的な関係を築くことができます。ですから、ゴスペルやジャズで“Call & Response”による掛け合いがあると、演奏者も聴衆も共に盛り上がるだけではなく、一体感の中でメッセージを共有することができます。言うなれば、民主的な全員参加のコンサートになります。この“Call & Response”は黒人音楽の中だけかと思いきや、日本の秋田民謡や河内民謡等に用いられる「合いの手」も、この“Call & Response”の技法と同様であると聞いたことがあります。演奏者と聴衆が共に参加して、盛り上がって音楽の喜びを共有する為の技法なのです。

実は、この“Call & Response”は、ゴスペルの背景にある聖書の中にも流れている大切な技法です。ゴスペル(福音)には、私たち聴衆の魂に元気を与える、励ましと慰めのメッセージが沢山あります。特にゴスペルコーラスの中では、ボーカルのリードに合わせて、又はボーカルの掛け合いに応えて歌うときに元気が出てきます。一方、聖書の中では、旧約聖書から新約聖書に至るまで、天地万物を創造された父なる神が、何時でも私たち人間に呼びかけています。旧約聖書では、主なる神が、「主に帰れ。そうすれば、主は哀れんでくださる。私たちの神に帰れ。豊かに赦してくださる。」と、また新約聖書の福音書(ゴスペル)の中では、救い主イエス・キリストが、 「すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。」と言う招き(コール)を、人々に向けて語っています。全知全能なる神が、「私はあなたのことを愛している。私のところに来なさい。」と招かれた時に、あなたは喜びと感謝を持って、「神よ。私をありのままで受け入れてくださるあなたを愛します。」と素直に応答(レスポンス)できるでしょうか。ゴスペルを歌うと言うことは、このような神の招きに応えて、賛美の中で神と対話できる関係を築き、神を賛美することだと思います。私たち人間の魂を救うために来られたイエス・キリストの招きに応えれば、必ず心に平安が与えられます。そしてその招きには、力強い励ましがあります。

立ち返って静かにすれば、あなたがたは救われ、落ち着いて信頼すればあなた方は力を得る。」      (旧約聖書イザヤ書30:15)

<久留米キリスト教会 牧師 森本 泰三>